リスティング広告を効率的に運用する場合には、どのような事前準備が必要で、どうやってコスパを高めるのか戦略を練ることが重要です。
今回は広告を有効活用するための具体的な準備方法のほか、コストを低下させて利益を高めるための方法に言及し、売上アップに直結させられるテクニックをお伝えします。
運用を始める前の準備
リスティング広告の運用を開始する前には、慎重に事前準備を整えて、効率的でCV率を高めるための用意をしなければなりません。
そのための方法として重要な要素を5つ取り上げて解説していくので、それぞれの項目をクリアしながら、上質なリスティング広告を掲示しましょう。
自社の強みを明確にする
リスティング広告を上手に活用するためには、自社が売りにしている商品やサービスをユーザーに紹介し、コンバージョンを獲得することが重要です。
広告を使って何を訴えかけるべきなのかを整理するためには、自社の強みを明確にすることが一番のポイントになるため、今一度自社の特長を整理しましょう。
売り出したい物、強く訴求したい物をリストアップし、それを前面に押し出すキーワードのリスティング広告を出すことによって、広告への投資を回収しやすくなります。
ペルソナを設定する
リスティングでは、広告を表示させる相手の年代や性別、年収などを設定することができますが、それを上回るペルソナの設定を行いましょう。
30代男性に向けた広告を掲示する場合でも、インドアなのかアウトドアなのか、独身か家族を持っているのか、趣味にお金を使うタイプなのかなど踏み込んだ設定が必要です。
訴求する相手に具体性を持たせることで、1つのクリックから引き出せるコンバージョンを飛躍的に増加させられます。
競合を調査する
競合している会社が掲示しているリスティング広告を調査して、ヒントを見つけておくこともポイントです。
競合が積極的に活用しているキーワードを真似すれば、キーワード選定に慣れていなくても上質な広告を作り出せます。
また、競合が使っていないエアポケットのようなキーワードを用いることによって、独自色の強いコンテンツを制作することも可能です。
LPを用意する
リスティング広告の成果を最大化するためには、コンバージョンの獲得に特化したLP(ランディングページ)を用意しましょう
広告をクリックするユーザーのニーズにマッチした構成のコンテンツを用意し、適切なタイミングで商品購入やサービス登録、資料請求といったアクションを促すCTA(コールトゥアクション)を設置するのが定番です。
まだLPを用意していないという場合には、リスティング広告から招いたユーザーを逃さないためにも、広告を運用する前にLPを制作して事前準備を整えましょう。
コンバージョンタグを設置する
リスティング広告がサイトの売上やアクセス向上にどのような貢献を見せたのか詳しく分析するためには、コンバージョンタグをソースコードに設置すると有効です。
コンバージョンタグを設置するだけで、リスティング広告だけでなく、サイトの内容をどのように変更すべきかも分かるようになるため、必ず設置しましょう。
CPAを抑えながら成果を上げる運用のポイント
1件あたりのコンバージョンを獲得するために、どの程度の広告費を支払ったのかを示す指標として使われているのが、CPAという言葉です。
利益率を高めるためには、このCPAを如何にして抑えるかということが重要であることは言うまでもありません。
CPAを低くしながらも売り上げを伸ばし、成果を出すためのリスティング広告運用のポイントについて細かく紹介していきます。
アカウント構成を最適化する
リスティング広告はキャンペーン、広告グループ、キーワード、広告という4つのカテゴリーで構成していきます。
・キャンペーン
広告の大枠を決めるキャンペーンでは、予算分配を決められるほか、デバイスや広告を配信する日時、そして地域を世界、日本、特定の地域から設定することが可能です。
・広告グループ
広告グループは、キーワードと広告文を結び付けるための枠であり、検索ユーザーのニーズを汲み取ったサイトへの誘導が求められる項目になります。
・キーワード
キーワードは検索にマッチさせる言葉を選ぶ項目で、「完全一致」「部分一致」などのマッチタイプを決定するリスティング広告の中核を担うポイントです。
・広告
そして広告は、リスティング広告を見たユーザーに向けて誘導したいサイトの内容を簡潔に知らせるための文章を記載する項目になります。
リスティングの運用効率を上げるために特に重要なのは、上記4項目を包括的にチェックして見直しを行う、アカウント構成の最適化です。
これが行われていないと、予算の分配を適切に進められないことに加えて、ニーズに合ったターゲティングができないなどの問題が生じ、CPAが悪くなってしまいます。
特に広告グループの見直しは重要な作業となり、ユーザーが意図する検索結果のニーズに反映した広告を表示させなければなりません。
例えば「ピアノ」という広告グループの中に、「ピアノ 安い」「ピアノ 名曲」といったキーワードを設置していた場合、どうなるでしょうか。
この場合は、安いピアノそのものを購入したくれ検索した人にも、ピアノの名曲を見つけたくて検索した人にも、同じ内容の広告が掲示されることになります。
コンテンツの内容がピアノ本体の販売を行っているという場合、後者の目的で検索したユーザーからは当然興味を示されないので、広告を出す意味がありません。
キーワードや広告文を含めて、アカウント構成を包括的に見直し、地道に改善を続けることでCPAの向上を目指すことができます。
キーワードの最適化
リスティング広告の分析を進めていくと、コンバージョンに繋がっている主力となるキーワードがいくつかに絞られていることが分かるはずです。
この結果を基にして、まずは売上を確保しやすい上位のキーワードを5~10個程度抽出して、そのキーワードに重点を置いた広告の運用を開始しましょう。
ここで抽出したキーワードに予算配分を集中させるだけでも、売上を数倍に伸ばすことは十分に可能です。
次に、4つから選ぶことのできるマッチタイプを活用して、ロングテールキーワードを取りこぼさないように対策しましょう。
完全一致以外のマッチタイプに設定することで、複数のキーワードの組み合わせで検索を行っているユーザーに向けてピンポイントな広告を提供できます。
検索される絶対数そのものは少なくても、アクセスを確保すればコンバージョンに繋げやすいロングテールキーワードは、リスティング広告の明暗を左右する鍵と言える存在です。
ロングテールキーワードを軽視せずにリスティング広告の運用を行い、コンバージョンの成功率を高めて運用コストを抑えましょう。
また、成果に繋がっていないキーワードを見つけられた場合は、そのキーワードを除外設定して、リスティング広告の表示率を下げます。
クリック数が多くても売上に結び付かないキーワードは残していても意味がないばかりか、赤字を作る原因になるため、早急な排除が必要不可欠です。
入札単価の調整と予算管理を行いながら運用する
リスティング広告では、広告のパフォーマンスに応じた予算の調整も重要です
売上が良いキーワードの入札単価を上げ、売上が悪いキーワードの入札単価は下げていくのが定番といえるでしょう。
この際には、CPAやROASなどの指標から目標設定を行い、パフォーマンスの良し悪しを見極めて入札単価の増減を決めることがおすすめです。
入札単価を変動させる場合は、一気に数倍と言う予算を投じるのではなく、増減いずれも現状の20~30%程度の範囲内に留めておくと良いでしょう。
特に入札単価を引き上げる場合、リスティングの運用費が一気に高額になり、予算を上回る可能性があるため注意しなければなりません。
それに関連して、1日あたりの予算設定を少なく制限してしまっていることが原因で、CPAが良いキーワードの出稿が減ってしまうことがあります。
この問題は大きな機会損失に繋がりますから、早い段階で確認を行って、該当するキーワードが見つかった場合には制限を解除しましょう。
制限がかかっているか否かの調べ方は、GoogleもYahooも共通しており、キャンペーンの管理を行うページから確認と設定を行うことができます。
ここに掲載されている「インプレッションシェア損失率」が0%以上の項目は、1日あたりの予算設定が設けられているものになります。
CPAに優れたキャンペーンのインプレッションシェア損失率が0%以上の数値になっている場合、予算配分を見直すことで運用を効率化させられます。
品質スコアを改善する
GoogleやYahooでは、広告の掲載順位を決定する際に、入札価格と品質スコアの両方を重要視しており、この2つの数値が高い広告を優先的に表示させています。
仮に入札価格が誰よりも高くても、誘導先となるサイトの品質が悪いと判定されてしまうと、広告掲載順位が最下位にまで落下してしまうこともあるのです。
つまり、リスティング広告にかけられる予算が少なかったとしても、広告の内容次第では競合に逆転し、アクセスを増やせる可能性が出てきます。
広告そのものに品質スコアを向上させるためには、CTR(クリック率)を高めることが一番の近道なので、そのための改善を行うことが第一歩です。
例えばタイトル欄に独自の強みを詰め込むことができれば、同じタイミングで表示される競合のリスティング広告よりもクリック数を増やせる可能性は高くなります。
広告と分かっていながらも敢えてクリックする条件を作り出すためには、ユーザーが探している情報とマッチする検索キーワードを含んでいることも重要になるでしょう。
何らかの根拠を握っている場合には、具体的なパーセンテージなどの数字をキーワードに使うことで、注目度を高めることも可能です。
例えば「満足度90%以上」「累計購入者数10万人突破」などの文句が広告に踊れば関心を持たれやすく、訴求も行いやすくなります。
まとめ
リスティング広告の運用は準備段階からが勝負であり、自社の強みや他社との違いを訴えつつ、LPやコンバージョンタグの用意などで対策を進めましょう。
コストを削減するためには、アカウント構成やキーワードを最適化させ、入札単価を調整し、上位表示のために品質スコアを改善することも意識してください。