ウェブサイトを運用するためにはまずはドメインを取得しなければなりませんが、ドメインの種類や内容はSEOに影響するのでしょうか?
この記事では、ドメインがSEOに及ぼす影響について分かりやすく解説した上で、どの様なドメインを取得すれば良いのかも紹介します。
そもそもドメインとは?
ドメインとは簡単に説明すると、ウェブサイトがインターネット上のどこにあるのかを示す、住所の様なものです。
ウェブサイトを解説する際には、必ずドメインを取得する必要があります。
現実に例えるのであれば、家を立てるための住所(土地)を取得する様なイメージですね。
当然住所と同様に、異なるウェブサイトで同じドメインを使用することはできません。
具体的には、下記のURLの下線を引いている部分がドメインに該当します。
- https://example.com/○○○/△△△/
- https://www.example.co.jp/○○○/△△△/
実際にはウェブサイトがインターネット上のどこにあるのかというのは、IPアドレスと呼ばれる数字の羅列で表されるのですが、わかりやすい様に英語や日本語などのドメインと紐付けられて上記の様に表示されています。
なお、ドメインの実際の定義はより複雑なものですが、正確な定義を解説すると話が非常に専門的かつややこしくなってしまうので、この記事では「ドメイン=インターネット上でのウェブサイトの住所」と考えてください。
ドメインによるSEOへの影響
ドメインには様々な種類がありますが、どの様なドメインを取得するかによってSEO上有利・不利になることはあるのでしょうか。
結論からお伝えすると、ごく一部のケースを除き、ドメインはSEOには影響を及ぼしません。
詳しく解説するにあたって、「トップレベルドメイン」と「セカンドレベルドメイン」について解説していきます。
トップレベルドメイン
トップレベルドメインとは、「example.com」「example.co.jp」といったドメインの「.com」「.jp」といった末尾の部分を指します。
トップレベルドメインはさらにその属性によって細かく分類されるのですが、知っておくべき代表的なものとしてgTLD(ジェネリックトップレベルドメイン・分野別トップレベルドメイン)とccTLD(国別コードトップレベルドメイン)の2つが挙げられます。
gLTDとはそのドメインがどの分野のものかを表すものですが、使用にあたって特に制限が無いものと、一定の要件を満たす必要があるものがあります。
ここでは前者のみを紹介しますが、代表的なものとして次のようなものがあります。
.com(コム):「commercial」を語源とする
.net(ネット):「network」を語源とする
.org(オルグ):「organization」を語源とする
.info(インフォ):「information」を語源とする
.biz(ビズ):「business」を語源とする
それぞれのトップレベルドメインに語源があるものの、これらのgLTDはどれをどの様に使ってもSEOには一切影響しません。
例えば商用サービスに用いるウェブサイトでなくとも「.com」を使っても構いませんし、企業のサイトだからといって「.biz」を使えばSEO的に有利になるといったこともありません。
安く購入できるから、使いたいドメインが既に使われていたから、なんとなく字面が好みだからなど、どんな選び方でも大丈夫です。
もうひとつのccTLDですが、こちらはウェブサイトが所属する国や地域を定義するもので、ccは「country code」の略となります。
日本であれば「.jp」、アメリカであれば「.us」といった形になり、取得するためには該当する国や地域に住んでいる必要があります。
そしてここで重要なのが、ccTLDはSEOに影響する場合があるということです。
具体的には、ウェブサイトを運用する国とccTLDが一致していないと、SEOで不利になってしまいます。
例えば日本人向けのECサイトなのにccTLDが「.us」だと、SEOにおいてマイナスに働く可能性があるため、ccTLDを用いる場合には必ず国と一致させるようにしてください。
なお、SEOに関心が強い方であれば、「.jpドメインはSEOに強い」といった話を聞いたことがあるかもしれませんが、gTLDとccTLDの間には優劣はありません。
セカンドレベルドメイン
トップレベルドメインについて解説したついでに、セカンドレベルドメインについても触れていきましょう。
ただし先にお伝えしておきますと、セカンドレベルドメインもSEOには全く影響しません。
そのため、特にドメインの知識に関して興味が無いという方は、この部分は読み飛ばしていただいても大丈夫です。
セカンドレベルドメインとは、トップレベルドメインの手前の部分を指します。
「.co.jp」であれば、「.co」の部分ですね。
ドメインの構成によっては、「.com」の様にセカンドレベルドメインが存在しない場合もあります。
このセカンドレベルドメインは、ドメインの属性を表しています。
「.co.jp」であれば、「.co」の部分が「corporation」、すなわち企業を表し、「.or.jp」であれば、「.or」の部分が組織である「organization」を表します。
先述の様に、これらはSEOには全く影響しません。
あくまでドメイン名をパッと見た時に、どんなウェブサイトであるのかわかりやすくなるというだけのものと考えて良いでしょう。
ユーザーの印象には影響する可能性あり
ここまでの解説で、ccTLDを利用する場合以外はドメインはどんなものを使ってもSEOに影響しないということがお分かりいただけたかと思います。
しかし、ドメインがなんでも良いかというとそうではありません。
例えばドメインを取得する際に、「example.○○」のexampleの部分は任意の文字列を設定できますが、これが不適切な単語や、サイトと全く関係ない言葉、あるいは意味が全く分からない文字の羅列であった場合などには、ユーザーの混乱を招いたり、悪い印象を持たれたりする可能性もあります。
また、稀ではありますが、中には「.orz」「.xyz」といった見慣れないトップレベルドメインに対して不信感を持つユーザーもいますので、不安な方はその様なトップレベルドメインを避けた方がいいかもしれません。
まとめると、ドメイン名はどの様なサイトであるかが分かりやすい簡潔なものにし、なるべくメジャーなトップレベルドメインを選択することが無難といえるでしょう。
ドメイン変更は要注意
ドメインとSEOの関係において最も注意しなければならないのが、ドメイン変更です。
なぜなら、外部リンクや運用実績といった評価はドメインに紐づくため、既に運用していたドメインを何らかの理由で新しいものに変更したい場合には、古い方のドメインの評価を新しいドメインに引き継ぐ様適切に処理をしなければ、ウェブサイトの評価が完全にリセットされてしまうためです。
旧ドメインから新ドメインへ評価を引き継がせる方法はいくつかありますが、最も代表的なものが301リダイレクトでしょう。
ただし、リダイレクトはドメイン同士のみでなく、対応するすべてのページのURLで1対1でリダイレクト処理を行う必要があるなど、かなり難しい側面もあります。
ドメイン変更の際に評価の引き継ぎに失敗し、上位表示していたページの順位が軒並み下落してしまうということは珍しくないため、SEOにあまり詳しくない場合には、専門的な知識を持つ業者等に相談することをおすすめします。
サブドメインについて
最後に、サブドメインについて触れておきましょう。
サブドメインとは、本ドメインから分割して運用するドメインのことを指します。
少々分かりづらいかと思いますので、具体的な例を挙げて見ていきましょう。
本ドメイン:example.com
サブドメイン:sub.example.com
上記の様に本ドメインである「example.com」の前についた「sub」の部分がサブドメインに該当し、サブドメインをつけることで、本ドメインとは別のドメインとして運用することができるのです。
新たにドメインを取得する必要がないため手間や費用がかからないというメリットがありますが、それ以上にサブドメインを運用する際に運用者の方が期待するのが、SEO的な効果ではないでしょうか。
ここからはサブドメインのSEO効果について解説していきます。
サブドメインを運用する意図として、以下の2つが挙げられるかと思います。
- サブドメインを本ドメインへの外部リンクとするため
- 本ドメインで獲得したSEO的な評価を利用してサブドメインで新規サイトを運用するため
1つ目の外部リンク効果ですが、サブドメインは本ドメインを持っていればいくつでも作ることができるため、サブドメインでサイトを量産し、本ドメインに向けてリンクを貼ることで、本ドメインの方で大量にリンクを獲得しようという手法が一時流行りました。
しかし現在では本ドメインとサブドメイン間のリンクは内部リンクとして認識されるようになっているため、期待した様な効果は得られないでしょう。
2つ目の、本ドメインのパワーを利用して新規サイトを運営したいというものですが、こちらに関しては、本ドメインからのリンクが内部リンクとして働き、またサイテーションなども多く獲得した状態から運用開始できるため、完全新規のドメインよりも評価が付きやすくなるケースはあります。
以上を踏まえ、サブディレクトリをどの様に利用すべきかまとめると、本ドメインとテーマが異なるサイトを運営したい場合に、サブディレクトリを使うのが良いでしょう。
新規ドメインを取得するコストを抑えられる上に、うまくいけば本ドメインのパワーを利用できる可能性もあります。
実際にYahoo!は検索エンジンの他にもYahoo!ニュースを始めとする様々なサービスをサブドメインで運用しています。
楽天も本ドメインはECサイトですが、楽天トラベルや楽天ブックスといった他事業はサブドメインで切り分けていますね。
この様に、本サイトと異なるテーマを扱いたい場合にサブドメインを検討してみると良いでしょう。
サブドメインとサブディレクトリの使い分け
派生するサイトを運営する際に、サブドメインではなくサブディレクトリも候補に上がるかもしれません。
サブディレクトリとは、以下の様なものを指します。
本ドメイン:example.com
サブディレクトリ:example.com/○○○
○○○の部分がサブディレクトリですね。
サブディレクトリはサブドメインと異なり、本ドメインに紐づくため、Googleからは本ドメインと同サイトとみなされます。
そのため、本ドメインと外部リンクを共有することができ、またサブディレクトリのコンテンツを充実させれば本ドメインのインデックス数を増やせるなどのメリットがあります。
一方で、サブディレクトリの場合にはテーマが異なるコンテンツを追加すると、サイト全体の専門性が薄まり、煩雑で何のサイトなのか分からないといった事態に陥ってしまう可能性も否めません。
そのため、本サイトとテーマが異なる場合にはサブドメイン(もしくは別の新規ドメイン)、テーマの関連性が強い場合にはサブディレクトリという形で使い分けるのが良いでしょう。
まとめ
ドメインとSEOの関係について解説しました。
ccTLDが運用する国・地域と一致しないといったごくイレギュラーなケースを除き、基本的にドメインがSEOに影響を及ぼすことはありません。
サイトの内容が分かりやすい簡潔なドメインを取得すれば間違いないでしょう。
ただし、ドメイン変更やサブドメイン・サブディレクトリの選択といった場合においては、ドメインがSEOに影響するため、この記事で紹介した内容を参考にしてみてください。