ウェブ広告には様々な種類がありますが、見込み顧客を追跡して広告配信を行う「リターゲティング広告」は、非常に高い費用対効果が期待できる広告形式です。
この記事では、リターゲティング広告とはどの様なものか解説した上で、リターゲティングの仕組みやメリット、活用方法や出稿にあたっての注意点などをわかりやすく解説していきます。
リターゲティング広告とは
リターゲティング広告とは、所有しているサイトを訪れたユーザーをターゲティングして配信する広告のことです。
例えばECサイトを運営していた場合、サイトを訪れたユーザーのどの程度がコンバージョン、つまり商品購入に至っているでしょうか。
扱う商材やサイトの使いやすさなどにもよりますが、おそらく9割以上はコンバージョンせずに離脱してしまっているかと思います。
しかしこれはサイトや商材が悪いというわけではなく(もちろんその可能性も検討すべきではありますが)一般的に、コンバージョンするユーザーというのは、サイトを訪れるユーザー全体のごくわずかの割合に過ぎないのです。
ECサイトの場合ですと、コンバージョン率が10%を超えればすごいといっても良いでしょう。
これはなぜかというと、インターネットユーザーは簡単に複数のサイトを行き来できるため、即決せずに比較検討することが多く、またそもそもその段階ではリサーチが目的であり、購入の意思が固まっていないユーザーも多いでしょう。
つまり、コンバージョンせずに多くのユーザーが離脱してしまうのは、当然のこととも言えるわけです。
しかし、一度サイトを訪れ、その後離脱してしまったユーザーは、見込みの無い顧客かというとそうではありません。
むしろ、非常に確度の高い見込み顧客といえるでしょう。
なぜなら、あなたが提供するサービスや商品を検討したという実績があることから、少なくとも興味関心を持ったユーザーであることは間違いなく、さらに、離脱後も購入をやめたわけでなく検討を続けている可能性も高いためです。
その様な見込み確度の高いユーザーを追跡して広告を配信できるのが、リターゲティング広告なのです。
この様な特徴から、リターゲティング広告は高いコンバージョン率を期待することができます。
さらに、コンバージョン率が高いということは、CPAも抑えられるため、リターゲティング広告は費用対効果が高くなりやすいというメリットもあります。
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告はどの様にしてサイト来訪歴のあるユーザーを追跡するのでしょうか。
その仕組みは、Cookieとタグを活用したものになります。
Cookieとは、Internet Explorer やGoogle Chrome、Firefoxといったウェブブラウザを通じて、利用者の端末にデータを書き込む仕組みのことです。
このCookieを利用して、リターゲティング広告を配信したい広告主は、サイトを訪れた人の端末に対して、自らのサイトに設置した追跡用のタグを付与し、追跡の手がかりとするわけです。
そのため、リターゲティング広告を利用したい場合には、予めサイトの特定ページにリターゲティング用のタグを設置しておく必要があります。
リターゲティング広告の「リスト」について
リターゲティング広告では、タグを付与したユーザーの一覧を「リスト」と呼びます。
リストは「サイトを訪れたユーザー全体」「特定のページを訪れたユーザー」「コンバージョンしなかったユーザー」「特定の性別や年齢のユーザー」「特定の期間にサイトを訪れたユーザー」といった様に、セグメントを区切って作成することができます。
さらに、リターゲティング広告を配信する際にはこのリストを組み合わせることで、広告の配信精度を高めることができます。
例えば、「1週間以内に/Aという商品ページを訪れたが/購入に至らなかった/20~30歳の女性」といったイメージですね。
リターゲティング広告で成果を上げるためには、リストは最も重要なものといっても過言ではありません。
リターゲティング広告を配信する上でのデメリット・注意点
高いコンバージョン率と費用対効果が期待できるリターゲティング広告ですが、利用するにあたってデメリットというか注意点も存在します。
それはブランド毀損です。
リターゲティング広告を配信するとサイト内のバナーなどに何度も同じ広告が表示されることになりますが、この様にしつこく同じ広告が何度も表れることに対し、ネガティブな印象を持ったことはありませか?
これは多くのユーザーに共通する心理で、最近では広告の仕組みやウェブ広告に対する認知も広まっているため、同じ広告が表示され続けることに対してしつこいと感じたり、ターゲティングされていることを理解して不快に感じたりするユーザーも少なくありません。
本来は見込み確度の高い顧客を刈り取るためにリターゲティング広告を配信しているはずが、その様なユーザーから悪い印象を抱かれてしまい、最悪ブランドイメージが低下してしまうケースもあり得るのです。
ブランド毀損対策にはフリークエンシーキャップを設定
リターゲティング広告にはフリークエンシーという概念があります。
フリークエンシーとは頻度という意味の言葉ですが、リターゲティング広告においては同一ユーザーに対するリターゲティング広告の表示回数を意味し、その上限として設定された回数を、フリークエンシーキャップと呼びます。
リターゲティング広告の配信時にフリークエンシーキャップを設定することにより、上で解説した様な、しつこく広告が表示されてしまうことによるブランド毀損という事態を避けることができます。
フリークエンシーキャップを何回に設定するのが最適であるかは配信するリターゲティング広告によって異なるため検証が必要です。
ネガティブな印象を抱かれているかどうかを測る指標は設定が難しいため、一般的には目標CPAを設定し、表示回数と実際のパフォーマンスを調べながら最適化していくのが良いでしょう。
明らかにCPAが悪いようであれば、興味関心の無いユーザーや、広告に対してポジティブに反応しないユーザーにも繰り返しリターゲティングされてしまっていると考えられるため、CPAの最適化によってある程度この問題も解消することができるはずです。
リターゲティング広告を利用する方法
リターゲティング広告は、広告サービスが提携するネットワーク内にある媒体の広告枠に対して配信されるため、リターゲティング広告を利用するためには、対応する広告サービスで広告運用を行う必要があります。
最も代表的なものである、グーグルディスプレイネットワーク(GDN)とヤフーディスプレイネットワーク(YDN)であれば多くの広告媒体にリターゲティング広告を配信することができるでしょう。
また、リターゲティング広告は様々な媒体で採用されていることっから、ディスプレイ広告以外にも配信することができます。
例えば、TwitterやFacebookといったSNS広告はその代表ともいえるでしょう。
SNSでも様々なユーザーデータを用いて広告の配信ができますが、サイトを訪れたユーザーに対してリターゲティングすることが可能です。
SNS上でそのまま商品の購入やサービスの利用を訴求してもいいですし、また、確度を変えて、SNSアカウントをフォローしてもらうための広告を出稿するといった方法も考えられれます。
この様に、リターゲティング広告は一度取得したリストデータを元に、応用が利く点も魅力です。
自社の状況に合わせた柔軟な活用ができると良いですね。
まとめ
リターゲティング広告の仕組みとメリット、デメリットと利用方法について解説しました。
リターゲティング広告は一度サイトを訪れた見込み確度の高いユーザーを追跡して広告を配信できるため、高いコンバージョン率と費用対効果が期待できます。
来訪したユーザーをセグメントしたリストを上手く組み合わせることで、広告の配信精度を高めることも可能ですので、パフォーマンス改善もやりやすいでしょう。
ただし、配信の際には同じユーザーに対して配信回数が多くなりすぎないように、フリークエンシーキャップを設定するようにしてください。