みなさんは、コンテンツマーケティングという言葉をご存じでしょうか。
コンテンツマーケティングは、従来のマーケティング手法とは異なるアプローチで集客を行います。
コンテンツマーケティングは、現在のネット社会において新たなマーケティング手法として、その存在感を高めています。
本記事では、コンテンツマーケティングについて、基礎知識から実践方法など、詳細な情報を解説していきます。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値のあるコンテンツを作成、発信し、新たなニーズを育てながら、最終的には見込み顧客を「ファン」として定着させるマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングでポイントになってくるのが、「価値のあるコンテンツをつくること」です。
今までのマーケティングは、自社の商品を「売る」ことにウェイトを置いていました。
潜在的なニーズを育てることよりも、即効性のある結果を追い求めることが、マーケティングの基本とされていたのです。
ところが、ネット社会の発展によって個人が簡単に情報に触れられるようになった現代では、人々の価値観が多様化しています。
そのため、「さまざまな需要」が生まれる可能性が強くなっているのです。
コンテンツマーケティングでは、人々の潜在的なニーズを掘り起こすべく、優良なコンテンツを作成し、人々の意識を引き付けていきます。
これまでは、自社の製品に見向きもしなかった人が、コンテンツに触れることで、商品に興味を持ち、実際に商品を購入に至るのです。
コンテンツマーケティングが注目されている理由
そもそも、なぜコンテンツマーケティングが注目を浴びているのでしょうか。
そこには、人々の「情報獲得手段」の影響が大きく関わっています。
これまで、とくに昭和の時代は、商品・サービスの情報を「テレビ」から入手していました。
より端的にいうと、「テレビCM」から情報を得ていました。
ところが、「インターネット」との距離が近くなった現代では、テレビを見る人が減り、テレビCMだけでは以前ほどの反響を期待できなくなってしまったのです。
以前は多くの人々がテレビ番組を見ていたため、番組の合間に広告を出せば、自社の商品・サービスが売れやすくなる、という状態が現代よりも顕著でした。
もちろん、今でもテレビCMは放映されていますが、最近はテレビだけではなく、YouTubeなどの動画コンテンツの合間に広告を出すことが増えるなど、様相が変わってきています。
パソコンを使ってネットの情報に触れることが主流だった時代には、テレビなどから商品情報を得る人が多かったのですが、「スマートフォン」の登場によって、インターネットとの距離が急速に近くなり、ネット優位の時代が確立されてきているのです。
実際に、現代では商品を購入する前に、ネットで情報を調べる人が多数派になってきています。
SNSで情報を得る人も多いため、ネット上に「優良な情報」を載せることが、マーケティングにおいても重要になってきているのです。
時代の経過とともに消費者の購買行動モデルは変化している
時代の流れが変わると、「消費者の購買行動モデル」も変化していきます。
何から情報を得るかで、「購入」に至るまでのプロセスも変化していくのです。
具体的な購買行動モデルの種類は、以下の4種類に分類できます。
・AIDMA
・AISAS
・AISCEAS
・DECAX
それぞれの詳細について、説明していきましょう。
マスメディア時代の購買行動モデル「AIDMA」
テレビなど、マスメディア主体の時代は、「AIDMA」と呼ばれる購買モデルが中心となっていました。
AIDMAは、以下の頭文字をとって名付けられました。
・Attention(注意)
・Interest(興味)
・Desire(欲求)
・Memory(記憶)
・Action(購買)
「Attention(注意)」では、見込み客が興味を持ちそうな商品やサービスをテレビ、ラジオ、新聞広告などを利用して紹介します。
「Interest(興味)」では、消費者が商品やサービスの説明を受けることで興味を持つことを示します。
「Desire(欲求)」では、興味を持った商品、サービスを手にいれたいという欲求を表します。
ここまでの流れは、現代の消費社会でも同じことがいえますね。ただし、次の段階である「Memory(記憶)」は、現代では若干違和感を覚えます。
なぜなら、マスメディア主体の時代は、インターネットが普及していなかったため、買いたいという欲求を持ったとしてもすぐにその場で注文することができず、お店に出向いたときまで記憶しておく必要があったからです。
そして、最後の「Action(購買)」につながってきます。
インターネット時代の購買行動モデル「AISAS」
インターネットが発達した時代では、「AISAS」と呼ばれる購買モデルが主流となってきました。
「AISAS」は、以下の頭文字から来ています。
・Attention(注意)
・Interest(興味)
・Search(検索)
・Action(購買)
・Share(情報共有)
Attention(購買)からInterest(興味)に至るまでは、マスメディア主体の購買行動と変わりません。
そこには、新たに「Search(検索)」の段階が入ってきました。
これは、見込み客がインターネットを利用して検索する行動を表します。
インターネットで十分情報を得たのちに、Action(購買)に移るのです。
そして、実際に購入した商品やサービスについてブログなどを通じて「Share(情報共有)」します。
インターネットの登場によって、人々が主体的に商品の情報を手にいれるための行動をして、購入を決定するようになった点が、これまでの購買モデルと大きく異なる点といえます。
ソーシャルメディア時代の購買行動モデル「AISCEAS」
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアは、スマホの普及によって一気に拡大しました。
自分の気にいった商品を、すぐにその場でソーシャルメディアにアップできるようになり、ソーシャルメディアが人々の購買欲求を高める要因になってきました。
ソーシャルメディア時代の購買行動モデルを「AISCEAS」と呼びます。
AISCEASは、以下の頭文字をとったものです。
・Attention(注意)
・Interest(興味)
・Search(検索)
・Comparison(比較)
・Examination(検討)
・Action(購買)
・Share(情報共有)
訪問者は、インターネットを利用して「Search(検索)」を行い、ソーシャルメディアの情報を参考にしながら「Comparison(比較)」を行います。
比較したのち、最終的に購入するか否か「Examination(検討)」します。
ソーシャルメディアを利用してComparison(比較)とExamination(検討)を行う点が、AISCEASの購買モデルの特徴となります。
コンテンツマーケティング時代の購買行動モデル「DECAX」
そして、現代で注目されている「コンテンツマーケティング」の手法で採用される購買行動モデルが「DECAX」というモデルです。
「DECAX」は、以下の頭文字をとったものです。
・Discovery(発見)
・Engage(関係構築)
・Check(確認)
・Action(行動)
・Exchange(体験と共有)
DECAXの購買モデルでは、「Attention(注意)」ではなく「Discovery(発見)」から始まります。
ある分野に興味を持ったユーザーが、ネット上で情報を検索します。
そこで、気になるサイトを発見し、サイト内の情報が充実していることを知ります。
サイトを閲覧しているうちに、サイトに対する信頼感が少しずつ高くなっていきますが、お金を払ってもよいと思えるほどは信頼できず、「Check(確認)」を繰り返します。
そして、Checkを繰り返した結果、「お金を払ってもよい」と思える状態に至った時点で、Action(行動)を起こすのです。
コンテンツマーケティングを行う4つのメリット
コンテンツマーケティングを行うメリットには、以下の4つ項目が挙げられます。
・専門家としてのブランディングに役立つ
・顧客のロイヤルティが高まる
・情報の拡散率が高い
・幅広い地域を対象にビジネスを展開できる
それぞれの詳細について、見ていきましょう。
専門家としてのブランディングに役立つ
コンテンツマーケティングを行うことで、専門家としてのブランディングが形成されます。
すると、「この分野だったら、このサイト」といった具合に、専門家としての評価が高まっていきます。
良質なコンテンツをつくる必要はありますが、専門家としてのブランディングができれば、集客も容易に行えるようになります。
顧客のロイヤルティが高まる
顧客のロイヤルティとは、顧客が特定の商品対して感じる「信頼」や「愛着」のことを指します。
コンテンツマーケティングを行うことによって、顧客のロイヤルティは徐々に高まっていきます。
コンテンツマーケティングの最終目標は、潜在顧客を「ファン」とすることですので、ロイヤルティの獲得は重要なミッションです。
良質なコンテンツを作成すれば、それだけ信頼を得ることにつながっていくのです。
情報の拡散率が高い
Webサイトなどのコンテンツは、情報の拡散率が高いです。
SNSなどで簡単に情報をシェアすることができるので、現実世界と比べて情報の伝達スピードが高いことが要因となっています。
情報の拡散率が高ければ、自分で行動をすることなく、マーケティングを行うことが可能になりますよ。
幅広い地域を対象にビジネスを展開できる
コンテンツマーケティングが対象とする地域は、特定の地域のみではありません。
日本全国、さらには世界各国が対象になるのです。
なぜなら、サイトなどのコンテンツは、ネット環境さえあれば、いつでも遠く離れた地域にまで、発信した情報を届けられるという特性を持っているからです。
対象地域が広ければ、それだけ顧客獲得のチャンスが増えることになるので、既存のマーケティングよりも規模の大きい集客につながるのです。
代表的なコンテンツの種類
続いては、代表的なコンテンツの種類と、その詳細についてご紹介していきます。
ブログポスト
コンテンツマーケティングの中で、もっともイメージしやすいのが、ブログポストと呼ばれるコンテンツです。
企業が発信したい情報記事が中心になっていて、基本的な記事の文字数は、日本語で5,000文字、英語1,100ワードほどで構成されています。
ソーシャルポスト
ソーシャルポストとは、ブログポストを保管して、ユーザーの拡散を期待するために投稿するものになります。
企業の場合、自社のアカウントで発信することが大半で、字数は100文字ほど。あくまでもブログポストへの誘導がメインとなります。
ウェブページ
ウェブページとは、ブログポストで自社製品やサービスに興味を持ったユーザーに対して、具体的な製品やサービスを紹介するためのページになります。
近年では、コーポレートサイトとオウンドメディアを分けて考える傾向があることから、ブログポストにリンクを埋め込んで、直接ウェブページへ飛べるように設定しておく必要があります。
ランディングページ
ランディングページとは、ブログポストで製品に興味を持ったユーザーをホワイトペーパーのダウンロードへ導くWebページになります。
ランディングページが充実していると、直帰率の低下につながってくるので、内容が大切になってきます。
インフォブック
製品やサービスの内容を視覚的に理解できるような図をインフォグラフィックと呼びます。
文字中心のホワイトペーパーを補完する役割があり、ユーザーの理解度を促進します。
ラウンドアップ
ラウンドアップとは、ブログポストよりも製品やサービスに重点を置いた記事になります。
コンテンツ作成時から専門家とコラボレーションを行い、コメントや見解を織り交ぜながら記事の信憑性を高めていきます。
記事のボリュームも、通常のブログポストより長くなる傾向にあり、読み応えのあるコンテンツになる傾向があります。
プレゼンテーション
プレゼンテーションは、PowerPointのプレゼンテーション資料やスライドショーのことを指します。
製品やサービスの要点をまとめるとともに、より動的でわかりやすいコンテンツを提供する目的があります。
ポッドキャスト
ポッドキャストは、オーディオのみのコンテンツで、ブログポストの内容を音声化したものです。
アグリゲータと呼ばれるソフトウェアを利用することで、RSSへの紐づけが簡単に行えます。
多くの著名人たちが、ポッドキャストを使って情報発信を行っており、今後、コンテンツ内でのシェアを広げていく可能性が高いです。
ニュースレター
ニュースレターとは、いわゆる「メールマガジン」のことです。
コンテンツマーケティングは基本、受け身型の戦略をとりますが、積極的に情報発信を行うニュースレターは、攻めのアウトバウンド戦略といえます。
一時期は、メルマガに広告を載せることで、莫大な利益を得られた時代がありましたが、現在はLINEの登場によってメール自体のやりとりが減ってきており、メルマガも下火の状態となっています。
ケーススタディ
ケーススタディとは、「導入事例」「成功事例」のことを指します。
製品やサービスの内容をある程度理解しているユーザーに対して、具体的な利用方法、体験談を示すことで、商品利用のイメージを具体化していきます。
ケーススタディの場合、事例の数は多ければ多いほど評価が上がるので、文字数としては「10,000文字程度」のボリュームが必要になってきます。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、自社製品やサービスの概要、調査結果などをまとめたものです。
PDF化されているものが大半で、ブログポストよりも、より直接的な商品・サービス説明となります。
リサーチ
自社製品、サービスの評価や市場価値を「リサーチ」として公開します。
大半の場合、「ニュース」として公開されることが多いですが、調査に時間、費用がかかるため、作成が難しいコンテンツです。
インタビュー
ラウンドアップは、専門家のコメントや見解を盛り込んだ記事ですが、これよりもさらに踏み込んで専門家のインタビューを記事にするケースもあります。
インタビュー記事を掲載することで、コンテンツの信頼度が向上していきます。
ウェビナー
ウェビナーとは、いわゆる「Webセミナー」のことです。コンテンツマーケティングにおけるウェビナーは、実際に参加しなくても、遠隔でセミナーを見ることが可能で、アーカイブでの視聴もできるものを指します。
ビデオ
ウェビナーなどの映像を一本の動画にしてコンテンツ化していくのが「ビデオ」になります。
YouTubeの市場規模拡大により、この「ビデオ」コンテンツは今、勢いを増してきています。
ブログポストに代わる新たなコンテンツとして、今後さらに注目を集めていくでしょう。
プレスリリース
ニュースとして、リサーチデータを配布するのが「プレスリリース」となります。
オリジナルの情報を自分でとってくる必要があるため、新聞社のように独自の取材網がないと、プレスリリースの作成は困難です。
信頼に足る一次情報が入ってきたときだけ、プレスリリースをつくるメディアが多いです。
コンテンツマーケティングの実践方法
コンテンツマーケティングを実際に行うときには、以下の2つの作業を行っていく必要があります。
・公開に向けて行う作業
・コンテンツを知ってもらう作業
それでは、具体的な作業内容を確認していきましょう。
公開に向けて行う7つの作業
まずは、コンテンツの公開に向けて行う7つ作業についてご説明します。
➀ペルソナを設定する
コンテンツをつくる際には、「誰に向けて発信するのか」という対象となる人を具体的に想定する必要があります。
最初に詳細なペルソナを設定して、コンテンツが伝達されていくシミュレーションを行っていきます。
ペルソナとは、コンテンツの対象になる1人の人物像を詳細に記述したものです。
ペルソナ設定によって、ユーザーが直面する問題やニーズを具体的に把握しやすくなり、コンテンツの方向性を決める判断材料にできます。
②カスタマージャーニーマップを作成する
ペルソナの設定が完了すると、「誰に、何を伝える」という方向性の部分は明確になりますが、「時間軸」までは設定できていません。
どのような順番で情報を提供するのが適切か、という情報の経路を描くことを「カスタマージャーニー」と呼びます。
この工程は、ペルソナ設定と同じくらい重要な部分となります。
③メディアを選定する
伝えるべき情報、経路が決まったら、次は「どの媒体で伝えるか」を考えていきます。
上記で解説したコンテンツの中から、設定したペルソナを考慮し、適切な形式のコンテンツを選択したメディアをつくっていきます。
④CTAを設定する
CTAとは、「Call To Action」の略で、顧客に対して「とってもらいたい行動を呼びかける」ことを指します。
たとえば、ウエブサイト上では「ダウンロードボタン」などがCTAにあたります。
CTAを設定することで、購買までのプロセスがより明確になってきます。
⑤KPIを設定する
KPIとは、CTAを計測可能な数値に置き換えたものです。
たとえば、アクセス数、ダウンロード数、滞在時間などがKPIにあたります。
KPIの測定は、コンテンツマーケティングにおける「健康診断」のようなものです。
アクセス数が目標値に達しているかなど、コンテンツ運営に重要な影響を及ぼす指標を確認していきます。
公開後はコンテンツを知ってもらう努力をする
コンテンツの設計、公開が終わったら、あとは認知を広げるための発信作業が重要になってきます。
すでに関係性がある層へのアピール
企業SNSのフォロワーなど、すでに関係性を持っている層に対しては、コンテンツを直接シェアしたり、メルマガで情報を送ったりするなど、直接的なアピールを見せていきましょう。
関係性ができている場合であれば、名刺交換の際に獲得したメールアドレスに、直接コンテンツを送ってしまうのも有効でしょう。
まだ関係性がない層へのアピール
まだ関係性のない層に対しては、直接的なアプローチが難しいため、ユーザーに「見つけてもらう」工夫が必要です。
認知を広げるためにSNSでの発信を行ったり、SEO対策を行って検索エンジンで上位表示させる工夫をしたり、広告を利用して認知度を高めましょう。
実際に成果が出るまでには時間がかかりますが、ユーザーのニーズに即した内容を発信し続けることが大切です。
インフルエンサーへのコンタクト
インフルエンサーへのコンタクトは、コンテンツに認知度を上げるのに非常に効果的です。
インフルエンサーは、インターネットの影響力が高く、1つの発言によって、数億円のお金が動くこともざらにあります。
インフルエンサーに対して、先にコンテンツを送れば、インフルエンサー自身も「先駆者」としての満足度を得ることができるので、互いにWin-Winの関係を結ぶことができますよ。
まとめ
コンテンツマーケティングは、従来のマーケティング手法とは異なり、「良質なコンテンツ」をつくることで、新たな顧客を取り入れていくマーケティング手法になります。
コンテンツにも多様な種類があり、どのような形態のコンテンツを利用するかで、顧客の購買行動も異なってきます。
今後は、YouTubeなどのビデオコンテンツが主流になってくることが想定されますが、他のコンテンツが廃れるという訳ではありません。
インターネットが存在する限り、コンテンツがなくなることはないでしょう。
あくまでも、自社製品・サービス内容にあったコンテンツを選んで、作成することが大切になってきます。
今後、ご自身がコンテンツマーケティングの担当者になった場合、もしくはご自身でメディアを運営することになった際は、今回扱ったコンテンツマーケティングの情報を踏まえて、コンテンツ選定、作成に取り掛かってみてくださいね。